二次相続対策|一次相続で受け取った保険金をどう次世代へつなぐか

「夫が亡くなり、生命保険金を受け取ったけれど、このまま持っていると自分の相続のときに子どもたちの負担が重くなるのではないか」

一次相続では、配偶者の税額軽減などにより、相続税の負担が抑えられることが少なくありません。ところが、その後に残された配偶者が保険金や預金をそのまま持ち続けると、次の相続、いわゆる「二次相続」で負担が重くなることがあります。

特に、一次相続で受け取った保険金は現金として残りやすく、使わずに保有していると、そのまま次の相続財産に組み込まれやすいのが特徴です。

この記事では、一次相続で受け取った保険金をどう考え、子や孫へどうつないでいくかについて、贈与・承継設計の観点から整理します。


1.なぜ二次相続は負担が重くなりやすいのか?

二次相続では、一次相続とは条件が変わります。一次相続で使えた配偶者の税額軽減は使えませんし、家族構成によっては基礎控除の計算上も不利になりやすくなります。

そのため、一次相続で配偶者が受け取った保険金や預金をそのまま持ち続けると、次の相続で子どもたちの負担が重くなることがあります。

また、死亡保険金そのものも、被相続人が保険料を負担していた場合には相続税の対象になります。一次相続では一定の非課税枠がありますが、二次相続では残った現金や預金が通常の相続財産として問題になります。


2.「そのまま持つ」以外に、何を考えるべきか?

一次相続の保険金については、単に預金として持ち続ける以外にも、いくつかの考え方があります。

  • 必要な生活費・介護費として確保する
  • 子や孫へ計画的に移転する
  • 保険など別の形に変えて承継設計する
  • 遺言や家族内の合意形成を進める

重要なのは、「節税だけ」を見ることではありません。配偶者自身の生活費や介護費を確保した上で、次世代にどうつなぐかを考える必要があります。


3.子や孫への贈与では、税率に違いがあります

贈与税には、誰に贈るかによって税率の区分があります。18歳以上の子や孫など、一定の相手に対する贈与では、一般の場合とは別の税率が適用されます。

そのため、一定額以上の贈与では、子や孫への贈与を検討する意味があります。ただし、ここで注意したいのは、贈与が常に有利とは限らないことです。

贈与額、受贈者の人数、今後の相続時期、他の資産の有無によって、結論は変わります。したがって、「特例税率があるからすぐ贈与すべき」と単純に考えるべきではありません。


4.暦年贈与を使う場合の注意点

暦年贈与を使う場合、よく知られているのが年間110万円の基礎控除です。ただし、そこで安心してはいけません。

現在は、一定期間内の贈与について、相続の際に持ち戻して計算されるルールがあります。相続開始の時期によっては、以前より長い期間が対象になります。

また、税務上問題になりやすいのが名義預金です。贈与したつもりでも、通帳や印鑑を親が管理し、実質的に親の財産のままであれば、贈与として認められにくくなります。

  • 贈与契約書を作成する
  • 受贈者本人の口座に送金する
  • 通帳・印鑑・管理権限を本人側に移す

こうした基本を押さえることが重要です。


5.保険の活用という考え方もあります

一次相続の保険金を、そのまま現金で持つのではなく、別の承継手段に組み替える考え方もあります。

ただし、保険の活用は、商品設計、受取人設定、税務、今後の生活費確保などを含めて慎重に考える必要があります。単純に「保険に入れ替えれば有利」とは言えません。

したがって、この部分は、保険担当者や税理士とも連携しながら個別に検討するのが現実的です。


6.行政書士が関われるのは「全体設計」と「証拠づくり」です

このテーマでは、税理士、司法書士、保険担当者など、複数の専門家が関わります。行政書士が強みを出せるのは、個別税額の断定ではなく、家族の意向整理と全体設計です。

  • 家族内の意向整理:誰に、何を、いつ、どのように渡したいのかを整理する
  • 贈与契約書の整備:暦年贈与を行う場合の証拠づくりを支援する
  • 遺言や将来の承継設計:現金だけでなく不動産も含めて全体を整理する
  • 他士業との連携:税理士、司法書士、保険担当者と役割分担して進める

空き家や相続不動産の整理では、不動産だけでなく、保険金や預貯金を含めた財産全体の整理が必要になることがあります。そのため、現金と不動産を分けて考えるのではなく、家族全体の承継設計として考える方が自然です。


7.よくあるご質問

Q.一次相続の保険金は、そのまま持っていると問題ですか?

A.必ず問題になるわけではありません。
ただし、そのまま現金・預金として残れば、二次相続で課税財産に組み込まれやすくなります。生活費や介護費も考慮しながら、早めに整理方針を考えることが重要です。

Q.18歳以上の子や孫への贈与は有利ですか?

A.税率面で有利な場面があります。
ただし、贈与額や将来の相続時期、他の資産の状況によって有利不利は変わります。税率だけで判断はできません。

Q.毎年110万円ずつ贈与すれば安心ですか?

A.安心とは言い切れません。
一定期間内の贈与には相続時の持ち戻しルールがありますし、名義預金と見られないよう証拠や管理方法も重要です。

Q.行政書士にどこまで相談できますか?

A.家族の意向整理、贈与契約書、遺言、不動産を含めた全体の交通整理です。
税額の最終判断や個別申告は税理士領域なので、必要に応じて連携して進めます。


まとめ|二次相続対策は「現金をどう動かすか」を早めに考える

一次相続で受け取った保険金は、安心材料である一方、そのまま置いておくと二次相続で重い課題になることがあります。

だからこそ、配偶者の生活を守りながら、子や孫へどうつなぐかを早めに考える必要があります。贈与、保険活用、遺言、承継設計は、単独ではなく組み合わせで考える方が現実的です。

当事務所では、不動産整理だけでなく、現金を含めた資産承継全体の流れを整理し、必要に応じて税理士等と連携しながら進めています。


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